名前が気になり始めて数日後、いつも通り警察署付近を歩く。


「こんにちは!」


双子ちゃんが、すぐ私に気付いた。


「おまわりさんって、名前なに?」


また双子ちゃんのほうから言い出した。


「野辺 チカコです。巡査歴4ヵ月ちょっとです。」


4歳の子には難しい説明をしてしまった。


「わたしは別院 にこり。」

「あたしはひかり。」


にこりちゃんとひかりちゃん。

名字はべついんっていうんだ。

名字にツインと入っているから、双子にマッチした名字だと思った。


「のべっちって呼ぶ。」


の、野辺っち?


「こらこら。年上の人に変なニックネームつけるなんて失礼よ。しかもお巡りさんに。」


双子ちゃんの母も、ずいぶん難しい言葉でまとめたけどおいといて。


「いいですよ。野辺っちで。ひかりちゃんとにこりちゃんは、もうお友達だから!」


接しやすくするため、一応勝手に友達になった。

これで、きっと双子ちゃんも毎日が楽しみになったはず。

気分よく警察署に戻った。