祐也と私と一平先輩

不思議な顔をしている私に、保健の先生はにこりと笑う。


「小坂くんのお父さんはお医者様なのよ。
ちなみにわが校の校医でもあるの。
あなたも検診で顔を合わせてると思うけど」


にっこりと笑う先生に納得とばかり、私はうなずく。



「指も動くし、感覚もあるようなので様子を見てもいいと思うんですが?」

自信のある口調の小坂くんはお医者さまみたい。


「そうね、私もそう思うわ」


彼は私に向きなおると、


「もし今より激しい痛みや、指が動かなくなったら俺の携帯鳴らせ」


何故だか彼の言葉には安心感があった。
きっとこのまま大丈夫。


「あ、うん」


私は微笑みでかえした。


「ヤケドに効く薬はないんだけど、皮がむけるかもしれないから、一応軟膏を塗っておきましょう」


先生は軟膏を塗り、包帯を巻いてくれた。