祐也と私と一平先輩

「どうしたんだ?綾乃、保健室とか聞こえたけど?」


一平先輩が近寄る。


「こいつスポットライトに触ったんですよ。急いで冷やしたんですけど取りあえず保健室行きます」


言いながら足をとめない小坂くん。



「大丈夫か綾乃?!俺が行くよ」


慌てて私たちを追う一平先輩。



「俺が行くから平気です。先輩は体育館の中の様子を見てきてください。かなり熱くなってたんで、気分が悪くなる生徒が出るかもしれないし」


小坂くんは私の手を更にギュッと握った。


「そうよ一平。小坂くんが行くって言ってるのに、あなたまで付いてく必要ある?」


清良先輩の言葉に「ああ」とだけ答えて一平先輩は諦めたように足を止めた。


「綾乃。後で保健室行くよ」

小坂くんに手を引かれたまま、私は振り返りながら”コクリ”とうなずいた。