祐也と私と一平先輩

聞こえるのは声だけで、先輩たちの姿は見えない。


「一平、私と噂を確かめてみない?」


「バカバカしい。清良はそんなデマ信じるタイプか?」


「あら心外ね。女の子は大好きなのよ、おまじないとか、恋の噂とか」



「じゃあ他の男と試したらどうだ?」



「一平じゃなきゃイヤっ!あの時頑張れって言ったのは一平よ。
だから私そうするっ!」


.......



清良先輩の声を最後に二人の会話は聞こえなくなった。


まさか.....急にドキドキしてきた。

タイミング悪いんだからっ。


ど、どうしよう?

ヒザがガクガクしてきたのを感じる。

無言で小坂くんのシャツの裾を引っ張る。

『帰ろう』の意思表示のつもりだったんだけど....。