祐也と私と一平先輩

水しぶきが跳ねるのも気にせず私の手を押さえたまま、小坂くんの手も一緒に水に濡れてる。


小坂くんて意地悪だけど、良い人なんだね。

真剣な彼の横顔を思わず見つめてしまった。


......。

沈黙と水音が対象的で不思議な気分。




「────もういいかな?どうだ痛みはあるか?」


「ジンジンする」


「指は動くか?手の感覚はあるか?」


「うん、平気みたい」

私は左手をグーパーさせて見せる。



「良かった。一応保健室行ったほうがいいな」


水を止めると小坂くんは私の手を引いて歩き出す。


こ、小坂くん?

もう手を離して平気だよ?