「綾乃....ありがとな」眼下を見つめたまま、先輩が静かに言った。


浴衣のすそを揺らす初夏の夜風は少し冷たい。


「真っ白なウェディングドレス、絶対着せるから」


先輩....憶えてたの?

あの時、私が言ったこと。



と、立ち尽くす私を強引に引き寄せて重なる唇。


私の腰に回された先輩の手に力がこもる。


「小坂のこと忘れさせてやる」一瞬はなれた唇がそうささやいた。



.....ん。


......っつ。


強引にこじ開けられた唇に先輩の舌が入ってきた。


「....だめ」


驚いて顔を離した私の頭の後ろに手をやると、グイっと頭を引き寄せ
先輩の唇へと再び重ねる。



.....


天の川で逢瀬を楽しんでいる織姫と彦星も今頃は.....。

先輩の熱い想いを全身で受けとめながら、そんなことが頭をよぎった夜だった。