祐也と私と一平先輩

「お前重くなった?」

眉をしかめて聞いてくる。


「ま、まさかっ!体重は変わってないよ。制服が濡れてるから重たいんだよっ!」

紅潮した私のほほをギュっとつまむと、


「なにムキになってんだよっ」


小坂くんはそう言いながら、金網まで走ると勢いよく寄りかかり、そのまま座り込んだ。

完全からかわれてるっ。

ため息をつくと私も彼の隣に足をのばして座った。


金網を通して心地よい風が背中から吹いて来る。


「これなら乾きそう」


「だな、良かったよ。いざとなったら体操着で帰るけどな。
だいたいお前が素直に寝転がらないからだよ」


「ってえー、私のせいっ?!」


「そっ、帰りにラーメンおごれ」


「じゃあ、私にはラーメンとギョウザおごってよ」


「なんだそれ?」


「お互いサマってこと」


「ちぇっ」と、小坂くんは寄りかかった金網にさらに力を込めて寄りかかる。


”ギチ”鉄と鉄がこすれる音がする。