祐也と私と一平先輩

.......


小坂くんが私を抱いたままプールの底を蹴る。


ゆっくりと体が浮き再び私たちは水面から顔を出した。


「はぁはぁ」お互いに荒い呼吸を感じながら私たちは抱き合っていた。


苦しくて彼の肩に顔をあずけて。



......



「ごめん、平気だった?」


申し訳なさそうに小坂くんが口を開いた。


”コクン”無言でうなずく私。


自分の身に起きたことがあまりに非現実的すぎて、ちょっとまだ理解不能。ってか頭が追いつかない。


「上がって服乾かそう。今なら少しは乾くだろうし」


先に上がった彼は私に手を差しだしてくれた。

その手をつかむと、「よいしょ」小坂くんは私を引き上げてくれた。