祐也と私と一平先輩

玲奈が言ってたとおりだ。

小坂くんていつの間にか人気出てるんだ。


彼女たち、ため口だからきっと同級生だろう。


「あなた同じクラスでしょ?D組?」


「えぇまあ」


「D組では誰と仲いいの?」


「えっと、高橋くんと桐山くん。それと.....」


「違うって、女子に決まってんじゃん」


イライラした表情で、持て余したラケットを振りながら私の言葉を遮った。


「うーん、女子だと....」


ここで名前を上げていいものか一瞬迷った。


もし名前を言った子に迷惑がかかったら、それは私の責任だし。


なかなか答えない私に業を煮やしたひとりが、

「もう行こう。誰と仲が良くても関係ないし。
少なくともカバ子さんじゃないみたいだから」

ちょっとバカにした笑いを口元に浮かべると、
他の二人に『ほら行こうよ』と促した。


私の前からいなくなる彼女たちを、私は無言で見つめていた。