祐也と私と一平先輩

「「 あれ~、小坂くんじゃん!! 」」


テニスコートの外にいた数人の女子が彼の周りに集まってきた。


「相変わらずカッコいいね」


「暇なとき私たちとデートしようよっ」


「小坂くんのタイプ教えてよ」


私の存在を無視して彼女たちは口々に話かける。


「あっ悪りい。俺いま生徒会の仕事中。
カバ子さっさと来いよっ!」


私をチラッと振り返ると、歩き出してしまった。


私は無言でうなずくと後を追う。


ポカンとする彼女たち。


「あ~ん、冷たいんだから」

ひとりがつぶやく。


「でも、カバ子って」

クスクス笑い声が背中から聞こえる。

「やだカバに似てるってこと?」

「大食いとか?」