祐也と私と一平先輩

一平先輩は棚倉先輩に殴りかかろうとした。


「一平くんダメっ!!」


私はとっさに先輩の腕をつかんでいた。


「腕を放せ、綾乃っ」


「ダメだよっ!ここで殴ったら、先輩が悪者になっちゃう!」


必死で一平先輩の腕にしがみつく。



「お願いやめてっ!!
ダメだよ一平くん、お願いっ!!」


突然しがみついていた腕がガクンと力を失い、重力のままに垂れ下がった。


「あ...やの...」

途切れ途切れに私の名前を呼んだ先輩の表情が、苦しそうに歪んで見えるのは気のせい?

一瞬めまいを起こしたように先輩は両手で顔を覆った。

「はぁ、はぁ」と肩で荒い呼吸をする。



「一平くんっどうしたのっ?!大丈夫?!」


心配する私に「ああ」とだけ答えた。



「なーんだ残念だなぁ。ここで一平が僕を殴っておけば退学だったかも知れないのに」


肩をすくめながら残念そうな手振りを見せた棚倉先輩の言葉が、私は信じられない。


この人はなんてこと言うのっ?!


一平くんと友達じゃないのっ?!


最低!!!!