祐也と私と一平先輩

「清良はしょっちゅう愚痴ってるんだ、君のこと。
使えない子をどうして役員にしたのかって」


ここでまたその話をされるなんて思ってもみなかった。

散々へこんだからもう平気だと思うけど。

心の準備だけはしておこう。

私はゆっくりと唾を飲み込んだ。



「一平はそんな清良に何んて言ってると思う?

『ゆっくり見守りたいんだ』

...だって」


棚倉先輩は終始優しい笑みを浮かべている。


「何んて言ったかな?小坂くんだったかな?
彼は一平とは反対に君にあれこれ言うでしょ?
それが一平には歯がゆいらしい」


「....?」


「一平いわく....。
『綾乃は苦手なことや駄目なところがいっぱいあるけど、それが可愛いんだ』だって。

君は今のままでいい。君がドジったりミスをしたら自分がフォローすればいい。
そう思ってるみたいだね。

君だけのスーパーマンを気取ってるのかな?」


「ふふ」棚倉先輩は小さく笑う。


「でもさ、男にとって受け身の女の子って可愛いよね。
だけど、清良はそれが気に食わない」