祐也と私と一平先輩

「どうして?僕向こうのほうが落ち着くんだけど。
それにここの椅子硬いでしょ?」


「ですけど、わざわざ....」


「いいからっ」


「じゃ、じゃあせめて電気をつけて下さい」


「ここでサボってるのバレちゃうよ?」


そ、それもそうか....。


棚倉先輩の言うことはもっともだ。

席にいない時点でサボってるのはバレてるんだけど、見つかってお説教されるのは困るし。


「立ってるのもなんだから」と棚倉先輩が物置部屋のソファーに座るように勧めてきた。


とにかくこのままじゃ帰れそうにないと思った私はそれに従うことにした。


「さっきも言ったけど一平はほんといいヤツだよ」


無言で私はうなずく。
そんなこと言われなくたって知ってるし。


「君を少し可愛がりすぎなとこはあるけどね」


『可愛がりすぎ』ってどう言う意味?

何でこの人がそんなこと知ってるの?

私は棚倉先輩の顔を答えを求めるように見つめた。


棚倉先輩は眼鏡のフレームを直す。


「つまりね、君を大事にしすぎてる。これは君にとってあまりいいことじゃないと思うんだ」


私を大事にしすぎてる?

どう言うこ....と?

「だって君それで、清良から冷たい目で見られてるでしょ?」


そのことか....。

妙に納得してしまう自分が怖い。