小坂くんが折り畳み傘を手に立っていた。


昨日、家まで送ってくれた時貸してあげた傘だった。



「あ、うん。
あの....こちらこそありがと」



小坂くんは黙って私の髪をクシャクシャってすると、何も言わずに行ってしまった。


その背中を私も黙って見つめていた。



「何?どうしたの?
あんた達いい雰囲気じゃない?」


玲奈だ。


「そう?.....かな」


「あれ?いつもみたく豪快に否定しないじゃん?」