祐也と私と一平先輩

「はぁはぁ」


息が苦しい。


暗闇をどれくらい走っただろう?

”ふっ”体を叩く雨から解放されたことに気づく。


私たちの頭上には大きく枝を伸ばした木が立っていた。



「悪い。俺強引にお前のこと引っ張って来ちゃったけど大丈夫か?」


「はぁ....はぁ....うん」




呼吸を整えるまで私は少し時間がかかってしまった。




「やっぱ梅雨は油断できないな。あんないい天気だったのに」


「....う....ん」


大きく上下する胸を押さえながら答えるのがやっとだった。