屋上には二人の感情とは対照的に優しい風が流れている。 夏を予感させる太陽は少し傾きかけていた。 それは西日となってまぶしいほど不快なオレンジ色を二人に浴びせていた。 「....ゲホッ」 祐也が苦しさから、たまらずむせ返る。 と、一平は右手に込めていた力をゆるめた。 「ゲホッ、ゲホッ」 「すまない」 「先...輩、ちか....ら、ゲホッ....凄いっすね」 祐也は首元を押さえながら、新鮮な空気を肺へと送り込む。