祐也と私と一平先輩

「ところで、俺の話ばかっりでずるいですよ先輩。
いい加減先輩も教えてくれませんか？綾乃を好きな理由」

意識したセリフじゃない。

ただ、沈黙の打開策として放った言葉だった。



だが祐也は不思議なくらい肩の力が抜けている感覚を自覚した。


何故だ？


俺は完全にこの人のペースにはまっているからか？


もしそうなら、なんてザマだ。


先輩と対決するつもりが、戦わずにノックアウトだもんな。


この人は他人を無防備にさせる何かがあるんだ。




それと....。


肝心なのは綾乃の気持ちだ。


その答えもまだ出てない。


ただ先輩、今日あんたと話が出来て良かったですよ。


上には上がいる。


それが分かっただけでも自分にとって十分だ。


祐也はそう思っていた。