祐也と私と一平先輩

「そんなことよりお前、自分の心配だろ?」


小坂くんはその大きな手で私の髪をクシャっとした。


「赤点取ったら生徒会活動禁止だってな」


「あ、うん」



小坂くん知ってたんだ。活動自粛のこと。


バカな自分が恥ずかしくて、思わず目を伏せる。




その時だった。


「────綾乃お待たせ」


一平先輩の声がした。


「あっ、一平くん」


学校では”先輩”って呼ぶ約束だったけど、重い空気が一瞬で明るくなったような、先輩が現れてホッとしたのか思わず口走ってしまった。




「ふん、そう言うことか」


小坂くんの声が頭上で聞こえた。