祐也と私と一平先輩

「ところでA組の藤崎、あっ女ね。知ってる?」


「....藤崎さん?」


初めて聞く名前だ。


「彼女もエスカレーター組なんだけどね、小坂の元カノって噂」


へっ?


そうなんだ。やっぱり彼女いたんだ。

だからキスしてもそのあと平然としてられたんだ。

納得しつつ、ちょっと複雑。

焼きもちみたいにモヤモヤした気分。


てか玲奈ってどうしてそんな情報持ってるの?


「役員やってると、色々耳にするんだ。教えてくれる子も結構いてさ。
って綾乃さんも役員でしたっけ?」


「.....どうせ私は忘れられた役員ですよ」



玲奈は社交的だから生徒会に向いてると思う。

それに比べて私は、限られた人間とこじんまりしたコミュニティが好きだから....。

いわゆる地味子タイプ。


だからひっそりと、地味~に役員やってたいんだよね。

友達100人とかガラじゃないし、気のあう数人で十分って思ってる。


「ごめんごめん、冗談よ」

肘をつきながら笑う玲奈に「平気」とむくれて返事をした。