祐也と私と一平先輩

「そ、そんなことは憶えてなくていいのっ!」


先輩の肩を叩いた時だった。


”グラッ”


バランスを崩して体が揺れた。


「きゃっ」


屋根から落ちそうになった私の腕を先輩がとっさにつかむ。

先輩の長い指が私の腕にギュと食い込んだとき、また”キュン”とした。

どうしたんだろう私?もしかして病気?


「落ちたところで大したことないけど、ヒヤっとしたよ」


「わ、私も一瞬ビックリした」

目を大きく見開いて先輩を見る。


「バーカ」


”ドン”思いっきり背中を押されて、私は屋根から滑り落ちてしまった。