祐也と私と一平先輩

「昔、良く遊んだ公園行こうよ」


「こんな遅い時間?怖くない?」


「俺がいるんだから平気っ」


言うが早いか、先輩は私の手を取って立ち上がると、

静かに部屋のドアを開け、階段をそっと降りると玄関へと向かう。



先輩のご両親は寝ているのだろう。


廊下もリビングも電気が消えている。




外に出ると玄関の鍵を閉め、先輩は私の手を取って歩き出す。


「夜遅いから、このほうが安心だろ?」


私は黙ってうなずいた。


小さい時はいっつも先輩と手をつないでた。

先輩は『はぐれないでね』って言ってくれたっけ。

子供の頃も”一平くんの手は大きいな”って思ってたけど、それは今も変わらない。

懐かしい記憶に自然に笑みがこぼれる。