「里衣。どこに行くの?」
「トイレ」
お昼休み。
さっそく7組に足を運ぶ。
「あの〜…」
教室のドアから近い席の人に声をかける。
理系の私達のクラスとはまた違った雰囲気がある7組。
いや、理系とか文系とか関係ないか。
クラスって全部雰囲気違うよね。
「あの、…このクラスに」
っていうか名前聞いてない。
“このクラスに学年1のイケメンはいますか?”って聞く勇気はない。
だけどここまできて引き返すのも何か嫌だ。
あの人に会いたい。
「このクラスに?」
不思議そうに私の言葉を繰り返す人。
「えっと…あ!前髪が長くて片目が隠れてる人っていますか?」
彼の顔を思い出して特徴を述べる。
片目が隠れてる人なんてなかなかいない。
きっと分かるはず。
「…あ〜。なんか今日の朝はいたんだけどな。…アイツ学校来ないんだよ」
「あ、若葉ランのことでしょ?かっこいいよね!外見は。でも今日学校辞めちゃったらしいよ」
「まじ?まあ、いてもいなくてもって感じだったけどな!」
「ハハハッ」
2人の会話に頭がついていけない。
学校をやめた?
彼が?
…
若葉ラン。
この名前だけは覚えておこう。
私が初めて一目惚れした人。
