夏休みが終わって始業式。

夏休みに4人で行ったプール以来、亜樹くんとは会えていない。
結局電車の中で寝ちゃって駅に着いてからはすぐに解散になったから連絡先も聞けず。

何もないまま、夏休みはあっという間に過ぎて行った。

比例するように亜樹くんにドキドキしていた思いも日に日に薄れていった。



「…里衣が寝坊しないなんて珍しいね」
確かに。
今日は早く目が覚めた。
朝のホームルームが始まる15分前にはもう教室にいるし、こうやってシヲと南美と話せてる。

なんて優雅な朝なんだ。

「まあね。まあ、始業式だし。今日からまた頑張るぞ〜」

「ハハッ。三日坊主になりそう」

「ねえねえ、亜樹くんとはどう?」

南美が机に頬杖をついて首をかしげた。

「え?…亜樹くん?別に。何もないけど」

「はあ!…なんであの日の帰り寝ちゃうのよ!あの日の帰りに連絡先聞いてよ」

ん?
なんで私南美に怒られてるわけ?
シヲが「まぁまぁ」と南美を落ち着かせる。

「待って待って。どういうこと?…南美は亜樹くんの連絡先知りたかったの?じゃあ、南美が直接聞けばよかったじゃん。なんで私?」