帰りの電車に揺られて遊び疲れたシヲと南美はぐっすり寝ている。
「…寝ちゃったね」
さっきからずっと窓の外を眺めている亜樹くんに話しかける。
…
もしかして亜樹くんも寝てる?
まあ。いいか。…
「楽しかったね」
長い沈黙のあと、亜樹くんがこちらを振り向く。
ビックリして瞬きが多くなる。
「あ。…うんうん、すごく」
夕日の光で亜樹くんの髪色がさらに明るく見える。
目の色も綺麗な茶色で吸い込まれそうだ。
「また行きたいね。4人で」
「うん、もちろん。亜樹くんとこんなに仲良くなれるなんて思ってなかったから。今日はすごく嬉しかったよ」
…言った後に後悔した。
私、何言ってるんだろう。
恥ずかしくて今から寝たふりでもしようかと目を閉じた。
「え…ハハッ。このタイミングで寝るの?……ちょっと本当に寝てる?寝たふりでしょ?」
亜樹くんは笑いながらも少し焦って私の体を揺らす。
でも恥ずかしい。
目を開けるのも恥ずかしい。
穴に入りたい。
もう寝たふりを続けてこのまま寝ちゃえ。
