「里衣も食べなよ」

「……なに?もう名前呼び?」
売店から戻った南美がジュースを机に置きながら笑う。

「うん。流れるプールで仲良くなったから」

亜樹が「ね?」と微笑む。

「うん。3周もしちゃったもんね」

「俺たちなんか10回も滑っちゃったもんね!」

「え〜!ねえねえ、私のことも南美って呼んでね!」

「おい!無視かよ…」


喉がすごく乾いてきた。…
オレンジジュースをゴクゴク飲んで焼きそばを食べる。

3人がよかったなんてギリギリまで思ってたけど4人の思い出ができてよかったな。…


「じゃあ、食べ終わったら4人で流れるプール行こう!」

「俺、浮き輪必須だから」

「え!待って待って。私も浮き輪ないと…」

「里衣、安心して!…もう一個あるよん」

南美はドヤ顔で大きなドーナツ型の浮き輪を披露した。

「ありがとう、南美!…あ、待って待ってこっちに来ないで。…うわぁ最悪。私の焼きそばの中にハエが止まっちゃった…」

「はい、ドンマイ」

こんなことある?あと半分も残ってるのに!
お腹いっぱいになってないよ…。

「里衣、俺の焼きそばあげる」

冷たいシヲとは比べものにならないくらい優しい男だ。

「でも亜樹くんが食べれなくなっちゃうから…」

「俺はね……シヲからもらう!!」

「うわっ、やめろよ!俺のあとちょっとしかないの!」