ああ、もっとゆっくり話したかったな。
こういう時に限ってイケメンに会うとか運の使い方下手すぎ。
もう!
怒りのおかげで全力ダッシュがいつもより早い気がした。
「…セーフ」
教室に入るとチャイムがなる30秒前。
「相変わらず遅いな、お前」
シヲのニヤニヤは朝から見ると吐き気する。
「うるさいな!遅刻にならなきゃいいの!」
「ねえ。耳赤いよ」
「え?…なんでだろう。走り過ぎて耳が冷えちゃったかな?」
なんでだろうって自分ではもう分かっていた。
笑ってごまかす。
やだな、彼の前でも耳赤かったかな。
恥ずかしい。
胸がドキドキする。
胸のドキドキが鳴り止まない。
走ってきたから?
…
違う。
好きになっていたから。
