「全くもう!触らないでよね。せっかく綺麗に結べたのに」
電車を待つ間、南美はずっと鏡で自分の髪型をいじっていた。
やっと女子軍団から抜け出した私たちは予定より一本遅い電車に乗ることに。
「ごめんね。でも南美が彼女って言ったらすぐにいなくなったじゃん」
美人でスタイルがいい南美に勝てる人は誰もいないもんね。
「だからって毎回毎回利用しないでよ!バカ!」
「バ、バカ…。…分かった分かった。俺が結び直してやる」
「やだぁ!触らないでって!」
「もう2人ともうるさいよ。他の人もいるんだから」
プール着いたら余計騒がしくなるだろうな。
それにしても亜樹くんはさっきから静かだ。
イメージしてた人とはちょっと違う。
「あ!そうだそうだ!亜樹のことまだ紹介してなかった」
シヲが亜樹くんを紹介すると言った日も結局亜樹くんが不在で実は今日会うのが初めて。
こんなことってある?
初めて会う人
初めてお話する人とプール。
「亜樹くん!私たち知ってるよ!頭いいし、イケメンだし!ねぇ?」
ゲッ…。
南美、余計なこと言わないでよ〜。
「…そうだね」
「初めまして。……なんか急にごめんね。今日はよろしくお願いします」
恥ずかしそうに笑う亜樹くん。
もっとチャラいのかと思ってた。
けど実際は落ち着いていて礼儀正しくて…イケメンだ。
