それからナオミ・ヒルと会い、【paraiso】入社が決定。
私に与えられた仕事は、事務兼雑用で少しがっかりした。
今までの経験が全然活かせない。
創立2年のペーペーの子会社の立場だからか【paraiso】のオフィスは【B.C.building Inc.】の広〜いフロアの片隅をパーテーションで区切った一角。
なんとなく、定年間近のおじさん達が生息してそうな趣き。
組織は社長、秘書、営業1名、事務1名。なんとたったの4人!
親会社【B.C.building Inc.】は世界各国にビルを持っている大会社。社員は半分ほどが外人さん、という環境のせいで、アメリカンジョークと日本訛りの英語が飛び交う、インターナショナルかつ刺激的な職場。
パーテーションを隔てたこちら側paraisoの顧客は日本の会社なので、、あまり語学力は必要なく、あくせくせずにいられるところがいい。
でも、日が経つにつれ気付く。伝統ある【B.C.building Inc.】の社員さん達はプライドがめちゃ高い。ベンチャー的な【paraiso】はちょっと見下されてるのかな?ってことに。
IDをかざし、暗唱番号を打ち込む。
ヘリポートに出るのは初めてだったけど、案外簡単だったな、と思う。
ドアを開けて外へ出ると、都会のコンクリート・ジャングルとは別世界。空が近い!辺りは空以外に何も見えない。
当たり前か。ここは超高層ビルのてっぺんなのだもの。
屋上といっても、テニスコートが何面も取れそうなものすごい広さだ。
目の前には羽根を休めた一台のヘリコプター。

