なんとストッキングだけの裸足だった。
しかも、頬にぽつぽつと雫が落ちてきた。立ち止まったまま空を見上げる。
なんということか…
雨が降り始めたのだ。
そういえば夜は降水確率90%だと朝のウェザーニュースで言っていたっけ。
どうしよう、と呟いたすぐあと、私は
「うわ!」と叫んだ。
なんとブラウスの上3つのボタンが無くなっていて、下着のキャミソールが丸見えになっていた。
私はすぐに電柱の陰に隠れた。
隠れきれるわけないけど。怪しい人だと思われそう。
靴もない、財布もない、携帯もない。
ないないづくしで、ブラウス破れてるときたら、通行人に助けを求める事すら出来ない。
柱の陰から顔だけ出して周りを伺う。駅の近くに交番があったっけ。
こうなったら、そこに行くしかない。でもいろいろ事情聞かれるだろうな…
躊躇っていると、向こうから若いカップルが歩いてきた。
あの人達に頼もう。
誰かに助けを求めるしかない…と思っていたら、学生風の女性の方が私に気付いて彼氏を肘でつつく。
二人は傘も差さずに裸足で立っている私を見て、何あれ?とか、ヤバくね?だとかクスクス笑いながら通り過ぎていった。
果てしなく自分が惨めになった。