予想以上のデレクの反応にホッとした私は本音をポロリと漏らしてしまった。両手で自分の口を塞ぐ。

見かけよりかデレクがフレンドリーだったので、気が緩んでしまった!

失礼過ぎる!今のは、いくらなんでも失礼過ぎる!!


私の顔を見つめたまま、デレクはすっかりフリーズしてしまった。


へんな空気が社長室に流れる。


ヤバイ…失礼過ぎて、なに言われたのか理解出来ないって顔だよ…


「オーライ!決めたよ」


デレクは自分のデスクにポンとカップを置いて、分厚いファイルを私の目の前に突き付けた。


「B.C.Estate agentで開発を出掛ける南国のリゾートだ」

「はあ…」


1ページ目を開いてみるとエメラルドグリーンの海と天国へ続くかのような白い砂浜の美しい景色が飛び込んできた。

綺麗だけど、よくある南国のビーチって感じ。


「ベリベリ・ロイヤル・リゾート」


厳かに告げるデレク。やたら姿勢が良くて、声が通るから舞台俳優みたいだ。


「写真は今回の出張で私が撮影してきたものだ。日中、雨はほとんど降らない、遠浅の穏やかな海。無限の可能性を秘めた素晴らしいリゾートだが、何か決め手に欠けるんだ。

我がパライソの使命は、このリゾート地のプロモーションを成功させることだ。社運がかかってる。斬新なアイデアが欲しい。
キミをチーフにしよう。目を通してくれたまえ」


「え…?」