9月に入ってまもなく、引っ越しが決まった。
週末に引っ越し作業をして、やっと一段落したところだ。
 
 「ああ、疲れた~。愛実もお疲れさん。」
そういって、彼は、ベッドに倒れ込む。
「お疲れさま、っていうか、せっかくカバー新しくしたのにー。」
やっと、寝室の作業が終わり、なんとか今日の寝る場所は、確保できた。

 後は、キッチンや洗面台、お風呂も使えるようにしないと。
でも、彼は相当疲れているらしい。
「もー、悠斗さん、いい加減起きてよー。」
「ああ、無理。もう無理。」
まぁ、今日、彼はとても良く働いてくれた。
それは、認める。
惚れ直したくらいよ。
少し、休ませてあげよう。

 取り敢えず、私は、キッチンを片付ける為、寝室を出た。

 キッチンの片付けが終わる頃、彼が起きてきた。
それから、2人で買い物にいって、夕飯にする。彼は、お風呂掃除をしている。

 「「いただきます。」」
ダイニングテーブルに並んだのは、初めて彼に作ったパスタだ。
「なんだか、懐かしいなぁ。」
「覚えててくれたんだぁ。」

「うん、マジでうまかったから。ビックリしたよ。家でこんなパスタ食えるんだって。」
パスタを食べながら、彼が答えた。
シンプルなトマトソースのパスタだけど、彼は、気に入ってくれてたらしい。

「なんだ、それならもっと作れば良かった。あまり、パスタは好きに見えなかったから。」
「だって、あの時は、それなりに緊張してたし。愛実はあの時、仕事の事で頭がいっぱいって感じだったから。」

「そうだった?余り覚えてないけど。・・まぁ、これからはもっと作るよ。また、今日から宜しくお願いします。」
「こちらこそ、宜しく。」

 お互いに、軽く頭を下げた後、2人で笑い会った。