ウダウダと言い訳している悠斗を見て、長い溜め息を吐いた。
 
 「お前、それってマリッジブルー?」
「は?何でだよ。」
「いきなり、結婚が現実味を帯びてきたから、尻込みしてるんだろ?」
目の前の悠斗は、図星をさされたのか、苦い顔をした。

 「じゃあさ、悠斗は、本社に戻るのが嫌ってわけじゃ無いんだよな?」

 悠斗が、暫く考えこんだ後で、答えた。
「誰が、派閥争いの中枢に行きたがるんだよ。」
「それは、俺も行きたくねーな。」
「だろ?てか、お前んちの嫁姑問題なんて聞いてねーし。」

 「ああ、わりぃ。そう言った方が、森高さんに協力してもらえそうだったから。
でもお前は、森高さん連れて行くの躊躇ってるんだろ?
ただ、森高さんは、俺に協力したいってのもあるんだろうけど、わりと本気で、子育ては地元がいいって言ってた。だからさ、森高さんの方がとっくに覚悟決めてるんじゃないかな。」

「知らないからだろ?親父と伯母さんの争いを。」
「多少は、話したけど。」

「何て?」
「まぁ、派閥争いみたいなものが、うちの会社にもあるって。」
「そっか、知ってたのか。」
そう呟いて、黙ってしまった。

 取り敢えず、もう俺の役目は、終わったと決めつけ、「じゃあ、俺はもう帰るよ。ちゃんと森高さん迎えにこいよ。」
それだけ言って、玄関へむかい、外にでた。