お見合いですか?

 ウキウキとした気分で、寝室にはいった。
彼は、もう布団の中で寝ているようだ。
揺すって起こす。
「ふっふっふ。思い出しましたよー!5年前のあなたを。」
 揺すられた彼は、んんーと、唸ってから、上半身を起こした。
かったるそうだ。
「何?」少し機嫌悪く訊いてくる。

 だが、私は、気にしない。
ふっふっふーとちょっと不気味だが、笑ってみせた。
「キャバ嬢みてーだな。って言ってくれやがりましたよね、5年前に。」
「はぁー、思い出したんだ?」
「はい、はっきりと。」
徐々に、あの頃の記憶が蘇ってくる。
ベッドに腰掛け、更に言ってやった。
「まさか、あの時の金髪クンが、悠斗さんだったとは、思わなかった。絶対に年下だと思ってたし。あの時、絶対コイツとは付き合えないって思ってたのに、、予想外です。」

 「いや、あれは、、ちょっとしたやっかみだろ。俺だってそこそこ常連だったのに、伯父さんにだけ、にこにこしやがって。」

「ええ、そんな事思ってたの?
ただ、単にお客様に馴れ馴れしい店員が嫌いなんだと思ってた。」

「まぁ、あの時はやさぐれてたからなぁ。」
「どうして?」
「うーん、入社して2年位は工場勤務だったんだけど、その後、広報課で働いてた。3年位たった頃さぁ、また工場勤務に戻されたんだよなぁ。しかも、教育係り。まさに中間管理職って感じでさ、ストレス溜まるし、やる気も出ねーし、結構どん底だったかも。」
 
 悠斗さんも、苦労してんだぁ。工場勤務はにあわなそう。
そんな事を考えていたら、お休みという声が聞こえて、彼は、もう寝ていた。