お見合いですか？

　「別にちゃらいわけじゃねーよ。俺は、愛実より外見が好みの女にいいよられても、愛実を選ぶって言いたいだけだ。」
「まぁ、そうじゃなきゃ困るんだけどね。当たり前のことを、どや顔でいうな。」
「いやぁ、今までの俺からみたら、凄いことじゃないか？」
「確かに、悠斗も大人になったな。」
なんだか、しみじみと言われてしまった。

　「だからさぁ、俺もどうしたらいいかわかんねーわけよ。」
「何が？」
「昨日の電話。あれ、絶対に元彼だな、相手。」
「ああ、その事か。別に聞きたいなら聞けばいいんじゃねーの。」
「聞いて元彼って言われたら？」
「そうなんだぁ。で終わりかなぁ俺の場合。」
「えっ、そんなもんか？」
「まぁ、そうかなぁ。俺だったら、聞かないけどね。」
「やっぱりそうなるよなぁ。」
「そんなに気になるのか？」
「まぁ、そこそこ気にはなるかなぁ。だって、より戻すって言われたら、太刀打ち出来ねーし。」
「はっ？森高さんはそんな女じゃないだろ。真面目で、真っ直ぐな感じじゃん。」
「康太は、５年前の愛実を知らねーから、そう言えるんだよ。真面目で、真っ直ぐで一途なんだよ、あいつは。」
「5年前って？　ああ、本社の近くにいた時？？」
「ああ、あいつ、いつも泣きそうな感じでさぁ。ネックレスいじって、なんか、切ないって顔してた。」
「よく、覚えてるなぁ、まさか、その頃から好きだったとか？」
「いや、ちょっと気になってたかな？なんか印象に残る出会いだったから。」
「まぁ、森高さんを信じるしかないんじゃねーの？」
信じるって結構難しい。
好きだからこそ、不安になる。
「はぁ、俺さぁ、こんなに不安なの初めてかもしんね。」
頭を抱えた俺に、康太は、「良い経験じゃん」と笑った。