3階につくと、そこは立派なパーティー会場だった。
カフェスペースになる場所なのだろう。
今日は、カウンターに色とりどりのケーキが並べられている。

 所々にテーブルが置かれているが、椅子はなかった。
すでに、多くのひとで賑わっていた。
「結構人がいるね。」私が言うと。
「まぁ、神戸で人気のお店だからね。こっちでも話題のお店なのよ。」

 先ずはケーキを幾つか皿にとり、数種類あるドリンクの中でシャンパンを選んだ。
だって、後はコーヒー、紅茶、烏龍茶くらいなんだもん。
壁際のテーブルに皿とグラスを置いた。
本当は、椅子に座って食べる為のテーブルなので、ちょっと低い。

 周りを見回すと、カメラや、スマホで写真を撮っている人が多かった。
隣の明日香を見ると、やっぱりカメラを構えていて、ああ、さすがマスコミ向けのパーティーだと思った。
 明日香の指示に従い、皿の角度や位置を替えたり、アシスタントをつとめた。
ああ、早く食べたい。

 やっとのことで、ケーキにありつけた。
3種類のケーキはどれも夏の新作らしい。
味わってたいたら、味の感想を求められた。
何だか、仕事みたいだ。
まぁ、仕方ないんですけど。
「んー、このメロンのケーキはいくらで売るんだろうね。美味しいけど。」
ふんだんにメロンが使われている。見た目も豪華なケーキを食べながら、明日香が言った。
「さぁ、ホールで買ったら4~5万はするんじゃない?でもさぁ、爽やかさに欠けるね。確かに甘くてジューシーだけど。私は、こっちの方が好きかも。」
「やっすい女だね、愛実ちゃん。」
「うっさい。」
私が選んだのは、爽やかなレモンのケーキだった。なんだか、懐かしい味がした。