「ツリーの飾り…ですか?」
「当たり。実は、昨日街を歩いていたら見付けてね」
先生から渡されたそれは、よくあるツリーの飾りとは違っていて…。つまり、サンタの飾りだとか、雪だるまの飾りだとかとは違っていて、緑の葉の上に、まるで真っ赤な花のような葉をつけた植物をモチーフにした飾り。
「…ポインセチア…ですか?」
「お。よく分かったね」
ポインセチアといえば、クリスマス時期になるとそこかしこの生花店で売られているクリスマスカラーの植物。
「かわいい。こんな飾りもあるんですね」
「でしょ?ちなみに花枝さん、ポインセチアの花言葉って知ってる?」
小さく首を横に振ると、村田先生はニコッと楽しげに微笑んだ。
「聖なる願い」
「……願い……」
「花枝さん、いつも頑張ってくれてるからそれプレゼントしちゃう。何かお願い事をして、ツリーにでも飾ってごらん」
「……あ、ありがとうございますっ!!」
先生はそれだけ言うと、“じゃあ、ここ宜しくね”と私の頭に手を置き、校舎の方へと歩いていってしまった。
「…聖なる…願いか……」



