なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。





「センパイさぁ。手ぇ早いって言われね?普通グーで殴るか?」


「あんたがバカなことばっか言うからでしょ!!」



私にげんこつを食らった場所を撫でながら私の隣を歩く長瀬。


そんな長瀬を睨みつけながら、道路脇の公道を足速に歩いていた。



あの後私達は、一通り飾り付けを終え、日が落ち暗くなり始めた学校を後にした。


「何で長瀬も一緒に帰ってるの!?」


「うるせーチビ下。お前、本当先輩への口の聞き方なってねーな」


「(お前が言うなっ…!!!)」


「まぁまぁ、山下。いいじゃんか。みんなで帰った方が楽しいだろ?」


「楽しくなんか…!…いや、金城先輩が言うならそんな気がしてきましたっ」


いやいやいやいや。


違うでしょ。山下さん。


グーッて親指立ててる場合じゃないでしょ。


それに何だか金城くんは、この状況を楽しんでいるようで、顔がニッコニコしている。


……気のせいだよね?金城くん。


受験という名のストレス発散に、私が長瀬に振り回されるのを楽しんでる…だなんて、そんな邪悪な人間じゃないよね?


そうだと信じたい。


だってこっちは、ちっとも楽しくなんかないんだから。