なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

「あ、あと少しなんじゃなかったの!?」


「続きは今度、センパイとやるからいーや」


「いーやって……ちょっ!」


私の手を引っ張り走り出す長瀬は、さっきとは打って変わって子供のような無邪気な顔で笑う。


軽やかに地面を蹴って、その度弾ける水の音もなぜか楽しそうで。


あんたいつものポーカーフェイスはどうした。


片付けもほっぽらかして、後で先生に叱られるのは委員長の私なんだからね!


そう思いながらも、抵抗もせず黙って長瀬に手を引かれていたのは、一体何でなんだろう?







「ねぇ?どこに行くのよ?」 


「教室」


生徒ひとり見当たらない静かな廊下を長瀬と並んでヒタヒタと歩く。


廊下の窓からは、さっきとは打って変わって雨が止み、日射しすら差し始めた外の景色がいつもより澄んで見えた。





2–Bと書かれた教室に着くと、長瀬はズカズカとその中に入っていく。


迷いなく所定のロッカーを開けると、そのすっからかんのロッカーに入ったぐちゃぐちゃになった制服を雑に取り出し、そんな制服の間に挟まっていたグレーのパーカーを「はい」と言って私に差し出した。