なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

「……バカじゃないの……?」


無意識に出た小さな小さなそんな言葉に、ゆっくりと顔を上げこちらに目を向ける長瀬。


水も滴るなんとやら……って、そんな言葉を作った人は、今の私と同じような気持ちだったのかな?


澄んだ茶色い瞳が私を捉えて、それと同時に心臓がドキンと高鳴った。


吊り橋効果ならぬ、濡れ髪効果ってやつか。


じゃなきゃこんな気持ち絶対におかしい。


「咲希センパイ、ずぶ濡れだね」


「……あんたに言われたくない」


「あー…まーね」


長瀬はふっと小さく笑うと、球根を植える手をまた動かし始めた。


「もうやめなよっ。風邪引く」


「あと少しで終わるんだわ。センパイこそ風邪引くから、さっさと帰って風呂入んな」


「〜〜〜っ!やめなって言ってるの!!!」


せっせと動く長瀬の手を両手で抑え込むように掴めば、指先から伝わってくる長瀬の冷え切った体温。


「……っ、こんなに冷たくなってるじゃない」


バカじゃないの。


バカじゃないの。


どうしようもなくバカだと思うのに、意地でも何でもこれが全部私の為にされたことなんだと思うと、泣きたいくらい………




いじらしい。



長瀬の手から、そっと自分の手を離した。