なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。

まさか。


まさかだよね?


「花枝さん?」


「あの…っ!し、失礼します!!!」


私は驚く先生をよそに、一目散にあの場所へと向かった。





下駄箱で靴に履き替え、誰もいない昇降口から空模様を仰ぐ。


激しい雨は落ち着いていたけど、しとしとと冷たい雨が地面に打ち付けていた。


そんな中にお構い無しに飛び出し、着いたのは校門横の花壇。


一番初めに長瀬に出逢った場所だ。


あの日は、あのハプニングのせいで結局チューリップの球根植えは断念。


時間のかかる作業だから、再度日程を調整して植えることになっていた。


それなのに……


何で……––––。




金髪の髪の毛から滴り落ちる雫。


指定の青色のジャージは、湿って色合いが変わっている。


雨によって急激に気温が下がったのか、口からは白い息が現れては消える。


それにも関わらずこの男は––––長瀬は、土で真っ黒になった手に園芸用のスコップを持って、ひたすら球根を植え続けていた。


何だこれ。


何だこれ。


胸の奥がギュウって痛い。


切ないような。苦しいような。悔しいような。


だけど、心の中に何か温かいものがポッと灯るような。


雨が地面に落ちるサーという柔らかい雨音が、そんな気持ちを余計に増幅させていく。