その日私は、今までの自分を捨てた。
あんなに恥ずかしい経験、2度としたくない。
誰かにあんな風に思われてしまうくらいなら、目立ちたくなんかない。
納得のいかないことだって、飲み込んで。
みんなの力を借りたくても我慢して。
辛くても自分の負担を増やして。
利用されていたっていい。
それを分かった上でやっていることなら辛くはないから。
もう2度とあんな思いはせず、ただただ平和にこの高校3年間を過ごせたならそれで…––––––。
次の日の朝。
今日は朝から、校門前のエントランスの掃き掃除と一部の花壇の水やりがある。
今朝は山下さんも手伝ってくれるって言ってたけど、それでも早めに家を出なくちゃ朝のHRまでに間に合わない。
「もうこんな時間だし……そろそろ家を出なくちゃ……」
時計を確認すると、自然とため息が漏れてくる。
いつもはどうってことない登校時間も、今日はどうも憂鬱だ。
学校には長瀬がいる。
ただそれだけのことなのに、足が鉛のように重たい。
いやいやそこはさ?
普通足取り軽くなる所でしょ?



