「…っ…キャッ……」


突然強く腕を引かれ、さっきまで壁ドンする側だった私の体勢が、反対にされる側の体勢に。


背中には、屋上のドアの冷たい感触。


驚いて固まる私の目の前にはもちろん、無駄に整った長瀬の顔。


どうしてこうなった……。


そして……近いっ!!!!


「ど、どきなさ…


「選択肢は、ふたつにひとつ」


なんとか逃れようと、長瀬の胸を押し退けようとしても、全くビクともしない。


それどころか、その手を掴まれ軽々と押さえつけられてしまう。


「俺の言うことを聞いて、これまで通りひっそりと平和な恋愛をするか、

俺の言うことを聞かずに、その恋愛、俺にメチャクチャにされるか」


「どっちがいい?」そう言って首を傾げる長瀬は、相変わらず読めない表情をしていて……。


だけど、その目は悪いことなんて朝飯前!といった様子で凄く凄く冷たくて……。


ただの脅し…ってわけでもなさそうだ。


ねぇ?


つい数秒前の私よ。


こいつのどこがまともなんだ。


「……………る」


「なに?聞こえない」


「許可するって言ってんの!!!!美化委員でもなんでもやればいいでしょっ!!!!」