なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。


長瀬の“好きなの?”って質問は、“好きなんでしょ?”っていう駄目押しに違いない。


確信しているくせに、はっきりした言葉を私の口から聞こうっていう魂胆なのは見え見えなんだ。


そんなの分かってるってのに、どうこの場を切り抜ければいいのかさっぱりいい案が思いつかない。


この役立たずな脳みそめっ!


「なぁ。好きなの?」


この間から私、失態ばかり犯してる。


誰にも知られることなく卒業を迎えるはずが、よりにもよってこんな厄介なヤツに知られてしまうなんて……。



そう。実は私、


高校入学からのかれこれ3年間、美化委員顧問である村田 智【ムラタ サトシ】先生に密かに恋心を抱いていた。


あれは入学式の日の下校途中––––。


–––––––


これから始まる高校生活をどう平和に過ごすか、どうひっそりと生きていくか、考えながら校門を出ようとしていた時だった。


目に入って来たのは校門脇の花壇。


私達新入生を歓迎するかのように、色とりどりの花で埋め尽くされている。


『すごい!よく手入れが行き届いてる……』


思わず花壇に近寄って行くと。


『でしょ?』


花壇の奥からかかるその声にはっと顔を上げる。