なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。


もうすでに、少しオレンジがかったその光に一瞬目を細めてから、風になびいた髪をかき上げ、眠たそうにあくびをしているスットコドッコイのエロガキをクルッと振り返る。



–––––ドン!



「……これ、壁ドン?」


「……黙れ小僧。」


長瀬の背後で閉まった扉に勢いよく手をついてすごめば、世に言う壁ドンってやつの体勢だ。


が、私と長瀬の身長差およそ25センチ。


つまり私の顔があるのは長瀬の胸辺り。


凄むも何も、見下ろされているのは私の方。


くっそ…!こんな時までムカつくヤツ!(不可抗力)



「ああいうバカなこと言わないでっ!」


仕方なくそのままの体勢で、長瀬をキッと睨みつける。


「なにが?」


「だっだだだだから!さっき言おうとしたでしょ!?私がっ…むっむむむ村田先生を…」


「好きってやつ?」


「みなまで言うなぁぁっ!!!」


「なんで?」


こいつ…っ。


さっきから“なにが”だの“なんで”だの子供かっ!!


「だからっ……」


「好きなの?村田のこと」


「……っ!」


いや、教師を呼び捨てするなよ。


……と言う余裕は、もはやない。