一方長瀬は、つまらなそうに目を細くして、青くなった私を上から見下ろしてくる。
「ずいぶん熱く語んね。あのセンコーのこと」
「そ…そんなことっ…」
「もしかして、センパイ。村田のことす
「わーーーっ!!わわわわーーっ!!今日も晴れだなあいうえおーーーっ!!」
「……。」
何言ってるんだ自分。キャラがブレブレだぞ自分。……っていう反省は、とりあえず帰ってからじっくりするとして。
とにかく、このクソガキヤンキーをどうにかせねば、私の身が持たん。
「…長瀬くん?ちょっといいかな?ついてきてほしい所があるの」
絶対零度の笑みでそう言うと、私は長瀬の手首をガシッと掴み、その場から連れ去った。
*
平和をこよなく愛する私には、
いや、平和をこよなく愛するがゆえ私には、誰にも言えない秘密がある––––。
「なー、センパイどこまで行くの?」
「屋上っ」
「なんで?」
「誰もいないからっ」
「……エロいことすんの?」
「するわけあるか。」
ノブを回して勢いよくその扉を開ければ、差し込んで来る、だいぶ西へと傾いた太陽の光。



