「矢野っ!!あんたってヤツは自分が咲希ちゃんの彼氏になりたいからってさぁ!!そんなわけないじゃん!!」


「おい。みき。お前は余計な言葉製造マシーンか」


矢野が言うようなことは、長瀬に限ってないと思う。


きっと、大学の準備やら何やらで忙しいんだって、そう思ってる。


そう思ってはいるんだけど……。


今まで、こんなことなかったんだもん。


長瀬のことを信じたいのに、「もしそうだったら?」って思っちゃう自分が情けない。


きっと、すぐ側に長瀬がいたならこんなことにはならないのに。


きっと長瀬は、私の不安にすぐに気づいて、「俺にとってセンパイは全てだって、前にも言ったでしょ?」って、私が今ほしい言葉を的確に伝えてくれるんだ。


そう思ったら、すぐにでも長瀬に会いたくなってくる。


……ぎゅってしてほしいなぁ……。


“あぁ。ここが私の居場所だ”って、そう思えるあの香りに包まれたい。


そういえば、長瀬に最後に会ったのはお正月の時か。


もうずいぶん顔見てないや。



「ああぁ……何だか私、咲希ちゃんにそんな可愛い顔させる彼氏さんがどんな人か、すっごい気になってきちゃったよぉぉ…」


「……は?」



何それ。


今私、どんな顔してた?