なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。


こ、こいつ……なんか凄いお喋りになってないか?


てか、つけたって何を?


長瀬に噛まれた首をさすりながら、そんなことを考える。



何はともあれ、こうやって長瀬が自分の気持ちをちゃんと話してくれるのなんて初めてだ。



「センパイ、ダメもとで言わせて」


「……っ」


長瀬の腕が私を包み込む。



「……どっか行かないでよ。俺の側にいればいーじゃん」



「長瀬…」



……何か言わなきゃ。


何か言って、長瀬を安心させてあげなきゃ。


ここを間違えたら、きっとこの先も上手くいくはずがないって分かってる。


こうやって、初めて長瀬が心の内を見せて甘えてきてくれたんだ。


年上らしい……何か気の利いたことを………言わなくちゃ……。



「だ…」


「だ?」


「大丈夫!!距離なんて全然問題じゃないって!!」


平然を装うあまり、つい大きな声が出てしまい自分で自分に驚いた。


しばしの沈黙。


長瀬は私を抱きしめたまま、何も言わない。


私の頭の中では“何か言わなきゃ”という気持ちばかりがグルグル回っていた。


心臓はバグバクとうるさくて、気の利いた言葉一つ思いつかない。


そう、私は超恋愛初心者なんだ。