金城くんが睨んでくるのはさておき。
「…とにかく、これ以上付き纏われるのは困る。卒業までの間、あんな変な噂に振り回されるのはごめんだし」
いっそ何かの間違いならいいのに。
本当は、私の事なんか好きじゃなくて、この間の仕返しだった……とか。
いや、それはそれで腹が立つけど……。
でも、このまま訳も分からないラブアピールされ続けるよりはずっとましだ。
「あ!花枝先輩!噂をすればですよっ!!」
「え?」
げっ!!
渡り廊下から、あくびをしながら近づいて来る男。
間違いない。
あの金髪といい、気怠そうな歩き方といい、間違いなく長瀬だ。
来るな来るな来るな来るなっ……!という念力も虚しく、長瀬は一直線にこちらに向かって来る。
「ちス。」
「……どうも。何か用?今、私忙しいんだけど」
「冷てーの。キスした仲なのに」
「なっ…!?!?」
こいつ……!
いきなり爆弾を投下してきやがったぁぁっ!!
山下さんはゴビーン!という効果音が聞こえてきそうなほど目をひん剥き、顎をしゃくれさせて固まり、持っていたヘラが手から地面へと滑り落ちる。
その横で金城くんが「へーえ」とか言いながら、興味深そうに顎をさすってる。



