なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。


「あの咲希にここまで信用させたのは、長瀬の凄いところだよね。惜しみなく、咲希に自分の気持ち伝えてきたんだろうなってのが手に取るように分かるよ。

だけどさ、じゃあ咲希は?」


「……え?」


茉莉の言葉の意味が分からなくて、一瞬戸惑う私に、茉莉は容赦ない言葉をつきつける。



「咲希は、長瀬にちゃんと伝えてきたの?」



心臓が、ドクンと大きく脈を打つのが分かった。



「……わ…たし……?」


「そう。咲希」


三人の真剣な眼差しが刺さって、息の仕方を忘れそうになる。


「咲希が今、長瀬をそんなにも信じられるのは、長瀬が咲希に信じてもらう努力をしたからだよ。それじゃあ、咲希は?長瀬に信じてもらうために何かした?」


「私は……」


ちょっと待ってよ…うそでしょ?


全然思い当たらない。


それどころか………。


「まさかと思うけどさ、咲希。長瀬に“好き”って伝えてないなんてことないよね?」


サァッと血の気が引いていくのが分かった。


その“まさか”だ。



私、長瀬に好きって伝えた覚えが一度もない。


真っ青になる私の様子を見て、「うそだろ…」と呟く金城くんは、もはやフォローしきれないといった顔。