白けた顔のまま天を仰ぐ山下さん。


「いや…あの…私もこんなことになるとは……ちょ、山下さん戻ってきて……」


「俺は最初からそうなると思ってたけどなー」


と、金城くん。


えぇ!?!?


それは心外だよ金城くん!!


「嫌い嫌いも好きのうちってな。花枝みたいなやつは、どうでもいい人間は基本眼中に入れないだろ。だけど長瀬のことは最初から警戒レベルMAXだったじゃん」


「そ、それは!コイツがこういうことばっかりしてくるからでっ…!!」


「うちの嫁、素直じゃないんデス。これでもベッドの上じゃ可愛いんですヨ」


「あんたとベッドに入った覚えはただの一度もないけどなぁぁぁぁぁ!!」


「え。あるじゃん。保健室で」


「あれは違うでしょぉぉぉ!?!?もう長瀬!あんたは入ってこないで!!話がややこしくなるっ!!」


そんな長瀬とのやり取りを、相変わらず白けた顔で見ている山下さんと、生暖かい目で見てくる金城くん。


長瀬は抱きしめたまま一向に離してくれないし、この寒い中、嘘みたいに体が火照ってる私はバカみたいだ。


「あー。でも、お前らはこれからが試練だなぁ」


「何が?」


長瀬と私は同時に金城くんに目を向ける。